FXでも、株取引にある「空売り」が可能です。
ですが、FXの空売りは株取引とは仕組みが少し異なり、FXならではのメリットや注意点があります。
今回は、FXの空売りで利益が出る仕組みやリスクについて解説します。
FXの空売りのやり方についても触れているので参考にしてください。
- 空売りは“売りから入る”トレード方法
- 株取引とFXの空売りには仕組みや手数料に違いがある
- FXの空売りなら下げ相場でも利益を狙える
- 空売りでスワップポイントの支払いが必要になる可能性がある
本サービスで配信する情報は、外国為替証拠金取引(FX)の記載・記録を目的としており、証券やその他金融商品の売買の推奨や引受けを勧誘する目的としたものではありません。 本サービスは、日本在住の方に向けた勧誘を意図したものではありません。
また、本サービスは情報の提供のみを目的としており、特定の会社に勧誘をするものではございせん。海外移住者向けに作成しております。
本サービスに掲載された情報ついては充分な注意を払っておりますが、正確性または完全性を保証するものではなく、また掲載した資料を使用した場合に生じた損失については、その損失が特定の法律や規制のもとで生じたものでない限り、いかなる結果について一切の責任を負いかねます。
目次
空売りとは?利益が出る仕組み
空売りとは、売りから入り、後から買い戻すトレード方法のことです。
FXでは「ショート・売りポジション・売り建玉」とも呼ばれています。
そもそも、FXでは特定の通貨を先に買い、安くなったら売るというのが一般的な取引方法です。
空売りでは、以下の動画でも解説されているように、“(FXの場合)通貨を借りて返すときの差分”が利益になる仕組みとなっています。
実際の通貨ではなく“通貨の権利”を売買しているイメージです。
- 1ドル110円の時に1万通貨(110万円)を売る
- 1ドル100円になったら1万通貨(100万円)を買い戻す
→差額の10万円が利益となる
空売りでは、通貨が安くなった時に買い戻すことで利益が発生するため、FXの空売りは相場が下落するタイミングに行う方法とされています。
売建玉の建玉(たてぎょく)とは、取引をしているものの決済をしていない状態のことです。
売建玉とは反対に、買いから取引を始める場合は買建玉といいます。
株とFXの空売りの違い
株取引にも空売りという取引方法がありますが、FXの空売りとは以下のような点が異なります。
FX | 株取引 | |
---|---|---|
方式 | 空売りでは実際の通貨をやりとりしない「差金決済取引」 | 証券会社から株を一時的に借りて空売りする「現物決済」 |
手数料 |
|
|
買い戻し期限 | なし | あり |
基本的な仕組みは同じですが、株での空売りは、証券会社から株を一時的に借りて売ることになります。
一時的にお金を借りているような信用取引となるため、株を借りるための手数料などが発生する証券会社が多いです。
(消費者金融にお金を借りるイメージです)
一方で、FXは差金決済取引※で、空売りをする際は実際の通貨をやりとりしないため、空売りのための手数料は必要ありません。
※受渡日に買付代金、または売却有価証券の提供を行うことなく、売買の差金により決済することです。
詳しくは後述で解説しますが、FXの空売りではスワップポイントを払う可能性が出てきます。
スワップポイントは本来トレーダーが受け取るものですが、空売りで金利差がマイナスになると逆に支払う可能性が出てくるというわけです。
また、株取引では、株を借りている状態のため買い戻し期限(返済期限)が設けられています。
FXは実際の通貨を取引しないため、基本的には買い戻し期限はありません。
FXで空売りを行うメリット2つ
FXで空売りを行うことで、次のようなメリットが期待できます。
- 下げ相場でも利益が狙える
- リスクを抑えることができる
空売りは安値で買い戻すことで利益が発生するため、下げ相場の時でも利益を狙うことが可能です。
また、相場の下落が予想される時に空売りを入れておくことで、相場の変動によるリスクを最小限に抑えられると考えられています。
メリット①:下げ相場でも利益が狙える
空売りの大きなメリットの1つが、相場が下落するタイミングでも利益を狙うことができる点です。
通貨を買うことしかできなければ、下げ相場の時は相場が回復するまで待つしかありません。
しかし、空売りは高値で売り、安値で買い戻すことで利益を生み出します。
そのため、相場が下落していても利益が発生するというわけです。
買いのロングだけでなく、空売りであるショートも駆使することで、FXなら上げ相場・下げ相場のどちらでも利益を狙うことが可能です。
メリット②:リスクを抑えることができる
FXの空売りは、リスクヘッジとしても活用されることが多いといわれています。
たとえば次のような場面では、空売りを行うことでリスクを抑えることが可能と考えられます。
- 経済指標発表や紛争などで、今後相場の下落が予測されるとき
- テクニカル分析である通貨が買われすぎていると予測できるとき
- どうしても手放せないポジションがあるとき
ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析で、今後の相場の下落が予測される場合は、空売りで対策することが可能です。
また、このまま保有しておきたいポジションがある時、空売りを入れることで相場が下落した際のリスクを最小限に抑えることもできるでしょう。
相場の下落が予測される場合は、空売りを行うのもリスクを抑える手段の1つです。
FXでの空売りのデメリット・リスク3つ
FXで空売りをする際は、次の点に注意してください。
- 価格が上がると損失が出る
- スワップポイントが発生する可能性が高い
- 利益に上限がある
デメリット①:価格が上がると損失が出る
空売りをして相場が下落すれば利益が出ますが、予測に反して価格が上がると逆に損失が出ます。
下げ相場で利益が狙えると同時に、相場が逆行する可能性があることは覚えておきましょう。
デメリット②:スワップポイントが発生する可能性が高い
上述で触れた通り、FXの空売りではスワップポイントの支払いが発生する可能性が高くなります。
そもそも、スワップポイントとは、通貨ペア間の金利差を利益として受け取れるものです。
たとえば、金利10%のA通貨を買って、金利1%のB通貨を売ったとすると、9%がスワップポイントとして利益となります。
しかし、空売りで金利の高い通貨を売ってしまうと、金利がマイナスとなりスワップポイントをあなたが支払う必要が出てくるというわけです。
スワップポイントは基本的に毎日発生するため、空売りでマイナスになっていると毎日金利を支払うことになります。
FXで空売りをする際は、通貨ペアのスワップポイントを確認しましょう。
デメリット③:利益に上限がある
FXの上げ相場の時は、利益に上限はありません。
相場の上昇と比例して利益も大きくなります。
しかし、下げ相場で利益を狙う空売りでは、価格が0になるときが利益の上限となります。
利益の最大値が限定されるため、大きな利益は狙いにくいといえるでしょう。
FXでの空売りのやり方・タイミング
FXでは、次のタイミングを狙って空売りをすると良いといわれています。
- 買われすぎているタイミング
- 経済指標発表の直前
- 経済が落ち込んでいると予測できるとき
取引している通貨が買われすぎていると、今後相場が反転して下落する可能性が高いと考えられています。
チャート画面上で行う「テクニカル分析」を活用し、相場が反転するタイミングを見極めるといいでしょう。
経済指標の発表が行われると、相場が大きく変動する可能性が高くなります。
相場変動に備えて、発表直前に空売りしておくのもリスクを抑える対策の1つです。
また、景気が下向きの時は、相場も下落する傾向にあると考えられています。
要人発言や金融政策で不景気の可能性が見て取れる場合も、空売りを入れておくといいでしょう。
経済指標や景気の動向による相場変動の予測には、「ファンダメンタルズ分析」が役立ちます。
空売り向きのFX会社の選び方
スワップポイントが低いFX会社は空売りに向いているといわれています。
上述したように、空売りでは金利がマイナスとなりスワップポイントの支払いが発生する可能性が高まります。
スワップポイントの低い業者を選ぶことで、空売り時のスワップポイントを抑えることができるというわけです。
FX業者によってはスワップポイントを開示していたり、通貨ペアのスワップポイントを計算できるツールを提供していたりします。
空売りの際でも有利に取引を進めるなら、スワップポイントの低い業者を選ぶといいでしょう。
まとめ
FXは実際に通貨でやり取りしない「差金決済取引」のため、通貨を持っていなくても売りから入ることが可能です。
空売りしておけば、相場が下落しても利益を狙うことができます。
- 下げ相場でも利益が狙える
- リスクを抑えることができる
- 価格が上がると損失が出る
- スワップポイントが発生する可能性が高い
- 利益に上限がある
ただし、FXで空売りをすると、スワップポイントの支払いが必要になることもあるため気をつけてください。
通貨ペアのスワップポイントや売るタイミングを見極めて、空売りで相場の動きに上手に対応していきましょう。